詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
もう、
忘れてしまえないだろうわたしを置いて
片耳うさぎよ
にげなさい
どうして、
こんなにも寂しいというのに
深みにはまることを知ってきたのに
どうしても、
ひとを離れては
眠りにつけない
言葉、
ひとのもたらす言葉について
もがいて終わるだけではなくて
知りたい、
知りたいと願えることの
まだみぬ闇を
胸、
胸の奥底にある浅瀬がきらり、
きらりと刺さる嘆きであっても
わたし、
そこでまだまだ
呼ばれていたい
ある、
名前はかならず残ってあるから
言葉、
ほんとうのことから
消えないつもりで
さまようことの
言葉、
でありたい
だけれど上手に
半分だけでも許されはしないだろうか、と
ありえぬ月夜から
ほほえみを
こぼす、
託す
片耳うさぎよ
逃げなさい
わたしのほろぼす
わたし、から