詩人:老女と口紅。 | [投票][編集] |
ド― ン
尺の大きな花火の音で‥ 呼吸が少々早くなる
夏祭り、神社はにぎわしく早く行こうとウチワの中の赤トンボ
ママの手から 駆け出し離れた水色浴衣の女の子
目を細める母親‥
遠い記憶がよみがえる
自分も体験したあのころの幼かった私‥
母に手をひかれ かぶったお面から見上げると
そこにはいつも母親がいた
昭和の初めの母親が いた…
あの日の私も母の手を振りほどき 人込みに消えた
夢中になっていた私が振り返ると そこから母は消えていた
祭りも、人込みも‥
私の母親の記憶もここで消えた
ぎゅっと握り締めていた金魚と風鈴とともに…‥