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[12254] 
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

「風船」

つばめの急降下にも
動ずることなく
ただよう風に押されて
やがて 点
水面に映る丸い残像


「滝」 

世の中のすべての音を盗んで
アピールするものは
引力 あるいは 重力
無数の直線を描きつづける
気まぐれに
虹をたずさえて


「シャボン玉」

世界をさかさまに見てみたら
悲しみも 苦しみも
泡となって消えてしまった
高架線の向こうにいるであろう
誰かにも 見せたい


「扇風機」

主役にして脇役
顔面からこぼれおちたものは
風 あるいは 風
もう ぼくは
きみ無しには生きられない
脇役にして主役



風をそっと裏返すと
涼、涼、と風鈴が鳴く

こっそりと
夏の残り香をなつかしむ
ぼくのもとに
夏はまた
訪れようとしている

2004/05/19

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