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[123483] 選択の理由
ある孤島の白浜で
ひとりの老人を見掛けた。
彼は一心に木片を
小刀で削っていた。
死を、刻んでいるんです
尋ねた私にそう答えた
―誰のものか
―何のためか
それならば、
お持ちの品より良く切れる
ナイフを差し上げましょうか
と私が言うと
彼は、要らないと目を伏せた。
何故かという問いに一言
私がそう思ったから
とそっけなく呟いた。
しかし、気が付くと
声の主は少年で
先の老体は何処にも無かった。
―それが孤島の性格だった
2008/03/24
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