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[138405] 紙コップの愛
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

メイクも酷く下手くそだったあの頃


ブルーのアイシャドーもアイラインも
めちゃめちゃに書いて


安物のファンデーションでソバカスを隠した


濃すぎる眉を引いて
駐輪場にはりつく虫


隠し切れないのはソバカスだけじゃなかった


浮ついて、堂々と君を探しては
渇いた口元を押さえた


下駄箱のピラミッドをミニチュアとも知らず解体

中には健気にも君が眠ると信じて


語るのはカーテンの中の君


本当は歩き方や、カバンの掛け方しか知らなかった

君のペンの持ち方を懸命に真似て


君の好きなコーヒーを
いまだに時々、買ってみる


甘すぎるその味は


いつかの雨の匂い


錆びた階段の手摺りの感触


オモチャの愛のうた





2009/01/23

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