詩人:剛田奇作
メイクも酷く下手くそだったあの頃
ブルーのアイシャドーもアイラインも
めちゃめちゃに書いて
安物のファンデーションでソバカスを隠した
濃すぎる眉を引いて
駐輪場にはりつく虫
隠し切れないのはソバカスだけじゃなかった
浮ついて、堂々と君を探しては
渇いた口元を押さえた
下駄箱のピラミッドをミニチュアとも知らず解体
中には健気にも君が眠ると信じて
語るのはカーテンの中の君
本当は歩き方や、カバンの掛け方しか知らなかった
君のペンの持ち方を懸命に真似て
君の好きなコーヒーを
いまだに時々、買ってみる
甘すぎるその味は
いつかの雨の匂い
錆びた階段の手摺りの感触
オモチャの愛のうた