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[143081] オレンジひとつ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


今日も見上げれば
さり気なく夕暮れの空にはオレンジ
オレンジとはいってもみかんみたいなオレンジじゃない
たとえるならやさしいやさしいオレンジ色
薄くもなく濃くもなくやさしいやさしいオレンジ色

悲しいはずの何も見えない夕闇もオレンジの記憶手繰り寄せて涙の夜に僕は笑ったんだよ

まんまる宝石
ぽっかり 月が浮かぶありふれた夜にもう奇跡は僕の目玉は映してるんだよ
生まれたときから見てきた景色 そして今現在
すべてが奇跡です
ありふれながらも素晴らしい喜びと悲しみ ふたつの意味をもった奇跡です

光と影のふたつが あいまって幻想的な夕暮れが僕を夜へいざなう
ありがとう
今日もオレンジ わざわざ 来てくれて
瞳 たずねるオレンジ
やさしい風 心の中から心の外へと吹き抜けていく

悲しかったよ 今日は
でもね
明日は うれしいといいな
良いことばかりじゃなくても少しでいいんだ
ぜいたくは言わないから
せめて明日も当たり前に見上げる夕暮れの空にオレンジあればいいから

それが今僕がいる同じ場所に明日も生きてるっていう紛れないあかしだから
それだけ
それだけでいいんだよ

悲しくてもそれが喜び されど悲しみ
死への不安はさらなる明日へ続く
生を得られた喜びはやがて終わる日を連想させる
でも今日生きれてることは絶対的に幸せ
いつかどうなる運命でも笑ってしまえるんだ

だから オレンジひとつ あやかりまして
スーパーでオレンジひとつ 買っていくよ

甘酸っぱくも美味しい美味しいオレンジひとつ 袋片手にぶら下げて

足取りもかるく僕は今日と一緒に明日へと消えてく
心もバウンドするステップで靴音たてて歩きだす

未知なる 明日へ
楽しみより不安
不安より楽しみ
混ざり合う感情
せめぎ合う意思
それでも僕は明日へ行くんだ。

2009/05/05

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