詩人:スヌスムムリク | [投票][編集] |
「ごめんなさい」
と言うのが、
幼い頃からのあたしの口癖だった。
どうしていいか、わからなかった。
苦しそうな母を見ているのが辛かった。
ヒステリーを見るのが辛かった。
どうにかしたくて、でもどうにもできなくて、
ただ、ただ、
私は母に笑ってほしくて、
優しく話しかけてもらいたくて、
ひたすら謝りつづけた。
それしか、すべを知らなかった。
「謝りなさい」
と言われ続けた記憶がある。
私は言われた通り、ひたすら謝りつづけた。
母には許してもらいるわけではなかったけど、
謝り続けた。
「ごめんなさい」
きっとこの言葉は、いつからか、あたしの武器になっていたんだと思う。
たぶん、私が謝るのはそこから。
「ごめんなさい」
私は、どこでこの言葉を使っていいか知らなかったけど、
「ごめんなさい」
この言葉を言うことで、私の気持ちが、
許される、
和らぐ気がしたから、
私はこの言葉を言い続けた。
あれから、十数年がたったけど、
母が
「心の病気」
だとわかったのは、つい最近のこと。
通院し始めた母に、
こないだポツリと一言、
「もう、謝らないで。」
と言われた。
ショックだっ