詩人:けむり | [投票][編集] |
のぼるより速く沈んでいく螺旋階段をのぼりながら、
期待され続ける愛されたい愛されない子供は、
世の中を見下しながら、
ゆっくりと 乱れていく。
こっけいな覆面の下で困り果て、
青ざめながら笑っていました。
誰にも胸の中を知られたくなくて。
自分でさえ気づきたくないのだもの。
その、こっけいさ。
純粋培養のあやつり人形は褒められる要素がたっぷりです。
「元気なお子さんね」
「お行儀がいいわね」
「お母さん似かしら」
誇らしげな母さんに嬉しかった。
後でじゅうぶん褒めてもらえる気がして。
けれどもっともっと望まれるばかりで。
ああ もう今にも愛の枯渇に自我が崩れそうだね。
ナイフへの興味は世の中への嫉妬によるものだ。
けれどあこがれのナイフで切り裂きたいものはいったい?
誰かが誰かを愛するように、
自分が自分を愛せたらいいのに。
暗闇に巣くう魔物におびえているんだろ。
あやまちをおかしても安心して帰れる家がほしい。
今にも暴れ出しそうな魔物をなだめるだけで精一杯。
落ち込むゆとりさえ持てやしない。
けれど分かるだろ。
覚悟が道を切り開くということ。
糸を切り裂くナイフを胸にいだいているということ。
誇りに目覚めなければならないということ。