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[165144] 最後の景色
詩人:どるとる [投票][編集]


あなたが明日
もしも 視力を失うとしたら 最後にどんな景色を見ますか?

そんな明日をひかえたあなたにとって 明日になるまでに見る景色は全て 最後の景色になる

時間を惜しみながら
1秒さえ 無駄にせずに眠ることもなく
一日中 家を空けても明日には 何も見えなくなる

死ぬわけじゃないけど 死ぬよりももしかしたら 悲しいかもしれない
美しいもの
輝くもの
醜いもの
何かわからないもの
何ひとつ 目には映せない 映らない
そんな明日が来たら
君ならどうする?
僕ならどうする?

最後の景色を見たときに想う 見えない目からこぼれ落ちる涙さえ見えない

最後の景色は
君になんていっている?
君になんていっているの?

少しずつ失われてゆく視力はまるで
世界が暗闇に包まれていくようで
とてもこわいな

世界から黒以外の色がなくなる瞬間に
人は何を思うのだろう

死んだわけじゃない
植物状態みたいに意識がなくなるわけじゃない

僕は生きている
生きているのに

何も見えないという事実の重さ

結局最後の景色は
なんだったのだろう?

まるで無意味で
じつにいい加減だ

視力がなくなる瞬間同時に僕の中から
純粋さも消えた。

2011/02/04

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