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[170191] 満ち足りている潮
詩人:千波 一也 [投票][編集]


ひとは

潮の途中に

なにを聴くというのだろう


聴くという言葉は

はなはだ都合がよくて

かげかたちが整えば

それは素敵な

嘘になる


耳を聴く耳は

どこにあるだろうか

問うよりもまず

見えていないことが見えてしまっているのだと

勇気を風に

はなせばいいのに



満ち足りて、なお

満ち足りていきたくはないふりをする

赤子のような

ふしぎな

連鎖


それにあらがう

火がやさしいかぎり

海は

果てなく

海をひそめる


2011/08/02

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