山を離れた石は勢いよく転がり始めた。尖った角が山肌にぶつかると思わぬ方向に転がり違う角をぶつけた。そしてまた思わぬ方向に転がりまた違う角をぶつけた。石は飛び跳ねるように転がっていった。「なんて気まぐれなやつなんだ」見ていた木が言った。石は痛かった。石はいろんな角を何度も何度もぶつけた。やがて角は角でなくなり石はころころと気持ちよさそうに転がった。もう痛みを感じなかった。あの夢のような日々がそうさせてくれていることを石は知っていた。
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