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[184017] ふゆの肩書き
詩人:千波 一也 [投票][編集]



雪のみちには月明かり

どこまでもまるく
月明かり



焦りも悔いも寂しさも
ましろな吐息
雪わたり

笑みも望みもなぐさめも
ましろな吐息
雪あかり

つめたい夜には月が降る



なにもかも
離されかけてしまう白の夜

やさしさも
おそろしさも
意味が重なりかけてしまう白の夜

わたしの吐息もまるで他人



あまりに小さな肩身では
すべての一歩が
疑わしい

それゆえ微細に火は灯る

ましろな季節をあばくため
せわしく孤独が
群れをなす



雪のみちには時がない

月明かりだけが
満ちている



てのひらに負う
熱とすきまと柔らかさ

ただそれだけがふゆの手がかり

なにも問わせず
なにも解かず


2014/02/14

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