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[186005] 
詩人:どるとる [投票][編集]


夕暮れが 電車の窓から見える
手を降る誰かの影も見える
僕はこのまま終点に向かってゆく
それは夜の水底に向かってゆくことだ
ほら、だんだん息もしなくなって
夢の中へ 意識は深く沈み込んでゆく

僕はそれを花だと思いました
どこかきれいな花に見えました
数枚に分かれた花びらを染める色は
同じ色に見えてもそれぞれに違う色で
この世界のいたるところで息をしてる
「生きている」それを忠実に守りながら
今日も この街のどこかで咲いているよ

川はただ川のように流れて
当たり前という形をなぞってる
僕は一枚の白い画用紙を無駄にして
次々に破り捨てては駄作だと言う
ああ、何が正しいかすら曖昧なら
この世界にあふれる正しさはとんだ嘘だ

僕は嘘だと知ってて愛している
君の唇が 世界の終わりを告げるまえに
僕は嘘でもいいと笑うからまだこの
物語は終わらない 夜と朝を繰り返してく
物語のページをめくるように日付は
限りなく最果てを目指して過ぎていく
それをただ悲しいと言いたくないだけ

そして 再び 物語は風向きを変えて
回り始める 何ら変わらない景色の中に
今日や明日と名付けても結局は
明日は今日と呼ぶのなら 何も変わらない
今日は今日だ

僕はそれを花だと思いました
どこかきれいな花に見えました
数枚に分かれた花びらを染める色は
同じ色に見えてもそれぞれに違う色で
この世界のいたるところで息をしてる
「生きている」それを忠実に守りながら
今日も この街のどこかで咲いているよ

涙で濡れて光る 花びら 枯れることも
わかっていて まだ咲きたいと願う花。

2014/08/14

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