ホーム > 詩人の部屋 > 過去ログ > No.82000-82999 > No.82511「融雪プランクトン」

過去ログ  〜 過去ログ No.82511 の表示 〜


[82511] 融雪プランクトン
詩人:松尾 優月 [投票][編集]

融雪の流れ際にまわる
光る回転光が揺れながら

いいえ。あたし達が揺れてるの
涙なんてここにたくさんあるの
息荒くても海をなぐさめていた箱舟

水温を計るなら、あたしたちほら、生きてる
涙を泳ぐ濃緑の中には、空飛べぬペンギン様
プンタアレナスの空は低くあり、最南端の岬
さらにその、境界線を持たぬ海と空

飛んでいるのだろうペンギン様
親子だろうか

マゼラン海峡を揺れる、ここは寂しい
歴史すら知らない、あたしは風でいられず
空で、朝焼けで、あの親子を見つけ
この場所は寂しいと
身体が

受動態制をとり震えた

     なぐさめてあげる
     まもってあげる
     まもれなかったけど  
     たいせつなの
     あなた
     あなた

探してるのだろうか、父をあるいは母を
たいせつな、存在を探してるのだろうか
白熱灯の薄明かり、生命のやわらかさ
強い光、道標は消えない

     かえっておいで。
     つらいのよ。

大丈夫。生きてる
さよならペンギン親子様
入港をひかえたあわただしさを横目に
浮かぶのはラッコが一匹
いらっしゃいませ。

ここは最南端の港です

心のはじっこに触れましたか?

なんて顔してたなぁ

あたしたち
融雪の地球、ぐるぐるまわってたの
そして時折のやさしさに、出会い
厳しさを感じながらも
涙の海に囲まれていたの

     なんか
     あたしたち
     ちっちゃいね
     こまかしいね
     ざわざわだよ

くだらない台詞
風と鯨の優々

嘘つき。

2006/07/30

前頁] [投票する] [次頁

- 詩人の部屋 -