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[83211] 
詩人:亜子 [投票][編集]

青い空にふくらむ雲
波たつ草を影がとおりすぎる時
牛はそれはひょいと吸い込んで
白黒ぶち模様に飾られる
まるで気にとめず
蝿をしっぽでふり払い
草をなめあげて
風へと忠実に乗り込んでいく
草原は素直でやわらかい

そのむこうに
空を突き刺して
意味をこじあけた
鉄塔群の針山
無言の電波は
聞いてほしいと夢中でとんでいく

鮮やかに愛すものを知っていながら
けれど僕はあの鉄の砦から
それらばかりを眺めてく

2006/08/08

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