ホーム > 詩人の部屋 > 過去ログ > No.88000-88999 > No.88156「ティータイム」

過去ログ  〜 過去ログ No.88156 の表示 〜


[88156] ティータイム
詩人:亜子 [投票][編集]

つかみどころも味けもない向こうもすける薄皮の
日々というパイ生地と
バニラビーンズ抱いた甘く狂うカスタードの
ていねいにつみ重ねた
ミルフィーユ

追憶の銀色フォークつきたて
さくりと嘆く記憶を聞く

胸もやけるそれは
てっぺんに落とされた苺の
赤く酸っぱいうらぎりと
アッサムの香りおびた
木の葉時雨の午後

冷静な味わいとなり
飲み込んだその時

このものにとらわれていた時間は過ぎたのだと知り
哀しいほど前向きな
私を知ったのです

2006/10/24

前頁] [投票する] [次頁

- 詩人の部屋 -