詩人:亜子
つかみどころも味けもない向こうもすける薄皮の日々というパイ生地とバニラビーンズ抱いた甘く狂うカスタードのていねいにつみ重ねたミルフィーユ追憶の銀色フォークつきたてさくりと嘆く記憶を聞く胸もやけるそれはてっぺんに落とされた苺の赤く酸っぱいうらぎりとアッサムの香りおびた木の葉時雨の午後冷静な味わいとなり飲み込んだその時このものにとらわれていた時間は過ぎたのだと知り哀しいほど前向きな私を知ったのです