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[93250] 擬人法
詩人:千波 一也 [投票][編集]



かなしむこころではなくて

かなしみという言葉を覚えなさい


よろこぶこころではなくて

よろこびの色彩に詳しくなりなさい


問うことはよそにまかせて

やみくもになぞりなさい



優しさといたわりと子守歌と


そこに上手に落ちつけば

皮膚の温度は恒常です

はなさぬように

はかりなさい



ありがたいものはすり替わり、



俊敏に嗅ぎ分けることです

愚鈍さを


鋭利に聞き分けることです

優劣を


ただし隠して

野性をひそめて



思いやるための思いやりさえ

まぼろしと消す

すべての

すべに



こたえることをまずは預けて

ごまかすことに慣れなさい


それほどかたりはたやすくて

すぐにもかたちはいたむのです


ひとごと世ごとに

むずかしく


2007/01/10

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