詩人:蒼月瑛
嘘ばかりついて、逃げた
ちょっと躓(つまづ)いて逃げた
手を差し延べる友のぬるい優しさから逃げ、
私を追放しようとする社会の酸っぱい正義から逃げた
太陽の光だけは私を照らしてくれる。
でも、私はこの光が嫌いです。
私はどこへ行くのだろう。
いや、わかる。
この胸はしっかり理解している。
紅く反射する鏡。
この胸を反射させ、みなに知らしめたい。
そう思った私に、嫌悪すら感じた。
紫と染まった
トンネルをくぐる。
私の足音が共鳴しあい聞こえる。
まだ存在しているようです。
金木犀(キンモクセイ)の香りが鼻につく。
私は疲れきっていた。
それでも逃げて、逃げて
ふと辺りを見た。
誰もいないところまで逃げたようだ。