詩人:アラタ
優しい、ときみは言った
でも、わたしはきみじゃないから
きみがいま感じている苦しみを理解することができない
きみのいたみも、
ただ想像することしかできなくて
どうすればきみを救えるのか
どうすることがきみにとっていちばんいいのか
よく分からない
きみの世界をみることはできても、
きみの世界を感じることはできない
おなじ瞬間に泣くことができなくて
おなじ瞬間に笑うことができなくて
きみとわたしは どこまでも、
残酷なまでに他人だ
現実を鏡でそのまま映したみたいに、たしかなものとして別々
よろこびを伝えるきみは硝子細工のようで
どこかで涙するくせに、
苦しいとは言ってもくれない
わたしはそれがくるしい