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[892] 弱虫の冬眠

詩人:soRa

疲れていたのか
二人は素裸のまますぐに深い眠りに落ちた

孤独を抱え縋るような二人の暮らしは
互いの欲望だけが人間としての形をかろうじて保っていた

十代最後の冬
僕らが逃げ道に選んだのはガラスの小瓶に詰められた真っ赤な錠剤だった

幻覚幻聴が激しく二人を襲い覚醒した中での愛を互いの体にばらまいた
二人はそれを拾い集めるかのように愛し合い
また深い眠りにつく

朝を迎えると二人の孤独は静かに目覚めを待っていて
逃れようのない現実になす術もなく立ち尽くすしかなかった

灰色に縁取られた孤独

それがすべてだった悲しみの冬

2003/02/28 (Fri)
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