詩人:千波 一也
まるで
夕立みたいな後悔のあとで
ぼくたちはまた
眠りへ向かう
汗と涙の共通点は
においのあるところで
においの流れ方だけがすこし違う
とても違う
虹がきれいに架かるとき
ぼくらは決まって潮騒のなか
遠かったり近かったり
全く同じ潮騒のなか
聞こえる言葉は稲妻みたいで
瞬きの間に溶けてしまう
それゆえ映画は
無くならない
まるで
凍土みたいな記憶をもって
ぼくたちはただ
夕焼けを見る
数えきれないほんとの嘘たちが
二度と苦しみませんように
傷みませんように、って
愚かなくらいに美しく
2011/08/02 (Tue)