詩人:千波 一也
ひとの
においの
消し去りかたは
夢を断つこと
きっぱり、
断つこと
けれどもそれが
叶わぬならば
甘えていなさい
ひとの
においに
その温もりに
まだ見ぬ
すべてのものごとを
ひとは呼びます
夢だ、と
呼びます
けれども信ずることなかれ
それらが
叶わぬものごと
と
ひとの
においは
けもののにおい
いのちに惑い
いのちに
すがる
だれにも裁けぬ
真摯な
におい
ゆめゆめ夢に
飲まれるなかれ
されど
うつつに
ひれ伏すなかれ
精一杯に、
精一杯にあらがってこそ
挑んでこその
好き好きで
あろう
語るものには
語らせておけ
それが
まったく
ひとの
においと
危ぶみながら