詩人:遥 カズナ
廃墟となった工場跡
捨てられた
白い三匹の子犬
寄り添い合い
暖め合っていた
コンクリートの地べたの片隅
クローバーの三つ葉の
無垢な初々しさで つらなり
可愛らしく ペロペロと
凍えた指先を舐めてくれた
「三匹はとても飼えないし離ればなれにするのも
可哀想だ」
風にクローバーが揺れる
上空に連なる白い雲も
やがては 暮れなずむ
遥かな果てに掻き消え
過ぎ去るほかにない
この工場跡の景色も
もうすぐ 闇につつまれる
夜が待ち受けているなんて夢のよう
命の数だけ
死が待ち受けているなんて
嘘のよう…