詩人:トケルネコ
ねぇ、君の瞳は春の雪解けのように 柔らかな光に縁取られた宝石
僕は打ち砕かれたコンクリート片のような まるで別世界の雨にうたれる石像
一体 この蝕まれた空 この軋む雲に果てに
どんな景色を描けるだろう?
バカな話さと遠くを見つめるだけの日々で
アキレルほど追憶だけが右へ左へと吹き流れる
天然石を売る店の 小さな欠片を見つめてた君
ラピスラズリに囲まれた その姿がただ優しくて……
独りきりの魂が 誰もが繋がりたいと想う時
不思議なカラクリが響きだし 貴石の扉がゆっくりと開くらしい
失われた波間に浮かぶトパーズの舟
白夜の少年は歩みを止める
手にした流砂に呑まれないよう瞼を上げて
ガーネットの唇と 瞳の奥のラブラドライト その煌めきに導かれ
少年は空を染める 虹を射止める流星となる