詩人:緋文字
仰ぎ見た時は割れていた
気付かぬ内
ざっくり、と
陽の射して艶々と
澄んだ赤色一つ一つ
手を伸ばしたらと誘い討つ
ぷつん、ぷつん、
潰して了え
耐えて堪らえて、
吐いて掃いて、
またその先で見ては
飲んで呑んで、
ずっと
身を置く先の小指の先程
束の間の出来事か
其丈か
去来することもなく
ただ居座り
在り続けた
生々しき感情
やっとの思い張り詰めた
薄い膜
飛び出してしまわぬよう
歪
飛び出してしまわぬよう
丸め込む
下ろし金で削られていくようであったでしょうに
トクン、トクン、
とは打たない不律の脈で
突かれた穴から零れたものなど
まるで興味がない、とでもいうように
喉潤したのは
その度に
透んだ赤色
ぷつん、と弾けた
あなた自身だったのね