詩人:杳子
朝焼けをたどる向こう岸
踏み外しまた明日になる
遠い記憶にうつつを抜かし
聞こえてくる声に日々を無駄にする
今夜の風は冷たく頬を掠めて
大地が氷りつくような満天の星空
最後の星が暁の色に薄れゆくとしても
決して薄れることのない惨めな過去
朝焼けをたどる向こう岸
踏み外しまた明日になる
温かい暖炉でうつつを抜かし
聞こえてくる声に今日も苛立つ
あなたはいつも平凡を嫌って
大地が燃え盛るように走り回る
最後の言葉が彩度を失ってゆくとしても
決して憧れを忘れることのない私がいる
雲はいつものんびりと
ただ空にあって私をなぐさめる
涙をいつも乾かすのは
冷たいこの夜の凍てつく風
朝焼けをたどる向こう岸
踏み外しまた明日になる
たといそうだとしても
まだ立ち上がれるのは
あなたが笑うことを止めないから
あなたが生き抜くことを止めないから