詩人:アロー
澄み渡りし湖面に浮かぶは小舟の波紋
霞立つ宵明けには岸辺に佇む少女の影
静みて鎮まる寂しげな風景など描かず
決して描かずに彼は待ち続けると言う
決して描く事なく少女を見守ると言う
想い彷徨う事なく留まる心は空見上げ
けれど目を閉じ黙想する老人が言った
「色褪せた花飾りの本当の色を知っているのは私だけ。
鮮やかなその色の思い出を心の奥に見つけられるから。
寂しいけれど。
寂しいけれど…」
澄み渡りし湖面に浮かぶは小舟の波紋
霞立つ宵明けには岸辺に佇む老人の姿
今はただ思い出と生きる老人が…