詩人:千波 一也
粘土で
象をつくったら
「可愛いきりんね」って
誉められました
たこ風味の
おかしな生きものをつくったら
「足が多いよ」って
注意を受けました
気ままに
まるをみっつ並べたら
「なにがしたいの」って
責められて
「こうしたらお団子よ」なんて
手本を示されました
がっかりしたし
いらいらしたし
悲しくもなったけど
なんにも言いません
言えません
そのかわり
粘土をつぶす力が
強くなりすぎるけど
粘土は黙って
こわれてくれるのでした
何度も
何度でも
こわれてくれるのでした
2011/10/16 (Sun)