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[166534] 風は穏やかに吹かせるものだ

詩人:EASY

僕は

なんの目的もなく仕事を辞めて

なんの目的もなく
また新しい仕事をしようとしている

人は生まれ変わると言われているが

僕は死んでもいないのに
生まれ変わろうとしているのだ

そしてまた
なんの目的もなく

生まれ変わろうとしているのだ

過去のいっさいとの関わりを

僕は止めたのだ

そしてこれからは
訳のわからない未来が

きっと待っているのだ


新しい人間関係を築くのは容易ではない

普通の人間なら
僕もそうだが

それにはかなりの
エネルギーを消費しなければならない


本当なら光合成でもしながら
植物の様に日光を浴びて

生きていければいいのだが

僕はそうもいかない様だ


僕にはお金が必要で
家賃も払わなければならない


なんの目的もないようではあるが

家賃を払うという目的はあるのだ

今さら大家に向かって
家賃を払わないで住まわして下さい
日光浴をしたいからなんて

口が裂けても言えないのだ

口が裂けた所で
追い出されるのがオチでもあるが



僕は死んでもいないが

生まれ変わらなければならない

それは僕の知らない所で

果たされるべき目的なのだ


だから
何も知らない僕は

目的なんかは知らないのだ

僕は
すべての過去を捨ててきたが

記憶にはしっかり留めてある

それは丁度

僕自身であるかの様に
いつもここにあるのだ

記憶ではなく
僕自身として

身に纏っているのだ



僕は変わらないものを
僕の中に持っていて

僕は新しいものを
僕の中に持っている


僕も
歳を取ったのかも知れない

意見が二つに分かれれば
どちらにも頷けてしまい

笑う事しか出来ないからだ

きっとそんな奴は
社会では窮屈なのだ


でも
釣った魚だけで飯は食えないから


新しい仕事を探すのだ



目的なんて
僕の知らない所にあればいい

笑う事しか出来ないならば

それもそう悪くない

2011/03/19 (Sat)
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