詩人:EASY
目覚まし時計を止めた僕は
もうほとんど夢を忘れてしまっている
その名残だけを便りに
初恋の感覚を思い出す
平日の朝に流れる空気は
その香りを一瞬で消し去る
空気清浄器の様だ
空っぽになった僕の心は
今日一日を詰め込まなければならない
それはまるで
煙草で真っ黒になる事を義務付けられた
子供の肺のようだ
テレビをつける
批判に批判をしているコメンテーターを
批判をするほど批判が好きじゃないので
僕は深く笑ってみせた
僕はきっと朝だから
忙しいはずなのだが
マンネリはよくないと
唐突に思ったので
ベランダに出て取り合えず
景色を眺めた
景色はとても騒々しくて
それは正に朝のそれであった
人々は時限爆弾の装置でも背負っているかの様に
先を急いでいる
鳩とカラスと猫だけが
時限爆弾を持ってない
僕にもそれは可能だろうか
僕はそう考えた
僕は息を大きく吸って
そして吐いた
それを可能にしたのだ
そして僕は言い聞かせた
別に悪い事をしてる訳じゃない
僕はただ
息を大きく
吸って吐いただけなんだ
雲は見たことないくらい
ゆっくりと流れて
目覚まし時計を止める前の
もうほとんど忘れていた
夢を思い出させてくれた