詩人:カナリア
そこは町工場
油作りのとある少女
その顔は幼さ残り
その表情は愁いも帯びる
とある少女
爪は割れ
ブロンズの髪はなびく事を知らない
それも総て僅かな銅貨を稼ぐ為
とある少女
とある月夜の晩
何処からともなく聞こえ出した哀愁のメロディ
ギターの掠れた音が囃し立てる
“さぁ踊るがいい”
開放された少女の腕は
薔薇の花を象る
美しき姿
汚れたスカートを掃う仕種は
まるで事を済ませた
娼婦のようで
見る者総てを魅了する
その指先
拾い集めるは星の金貨
満月に照らされて
少女は女へと
姿を変えた…