詩人:ナナエ
本の中の主人公が
とても綺麗で愛しくて
一緒に泣いた
作りものだとわかっていても
その物語を
言葉で感じ
心で感じて
流れる涙は
まぎれもなく本物だった
目の前で語られる
造られた言い訳や嘘には
同情すら抱かないのにな
フィクションで産み出された
ノンフィクションの感情なんて
現実では考え難い
矛盾の産物
人間はこんなにも
騙されやすく脆いこと
思い知らされているようだ
それでも
本を読むことを止めないのは
信じようと思える人間が
崩れても立ち直れる自分が
きっと存在すると
知っているから
なんだろうか