詩人:山崎 登重雄
セミが鳴く早くあなたに会いたいと全身を震わせてセミが泣く何故 あなたは約束を破ったのかと命のすべてを投げ出してあの夏の日の約束は生まれ変わっても巡り逢う約束は叶ったのか 果されたのか猛り鳴くセミの声はどうしても悲恋の叙情詩に聞こえてやがては鳥に食まれやがては力尽きてポトリと落ちやがては虫に食まれ そして消ゆ口々に 愛しき者の 名を呼びて 夏・巡恋歌 セミの声消ゆ