詩人:千波 一也
蜃気楼、と名のつく国へゆびさきに力を込めて風をおくるかろやかに静止するすべてのリズムは雨に流れてつい、空を見上げる何もないということが両手のうえに確かにあって、乾かぬように私は尚更遠くを見つめる約束、と名のつく偽りごとにやさしい舟が今宵も浮かんで誰かが何かが近くなる確かめるすべなら、もうあしたの向こうへ発ったからちいさな一途にひとり、笑む