詩人:黒夢
目の前にいる家族を
殴り飛ばしたくなった。
片付けることなく溜まっていた本の山を
崩したくなった。
どうでもいい事に酷く苛つくんだ。
負の思いに支配されたこの眸を映す鏡を
割ってしまいたい。
意味も無く身体を傷つけてしまいたい。
俺を非難する声を掻き消す為に流す
大音量の音の洪水。
そこに 癒しも安堵もありはしないさ。
唯、虚しくこの心を乱すだけ。
唯、沸き上がる激情を抑える術にすぎないよ。
取り乱すわけにはいかないんだ。
俺の精神を正常の範囲に保っているのは
情けないことにやたらと高いプライド。
蜘蛛の糸の様な 細い 細い 理性。
もう少ししたらいつも通りに笑えるようになるさ。
こんな思いは一時的なものだから。
心の中でそんな馬鹿な自分を嘲笑うんだ。
もう俺は二度と脱出できないくらいの
深く 暗い 繰り返しばかりの
複雑な輪の中に入ってしまっている。