詩人:中村真生子
「愛しているよ」と花は咲き
大地に、空に、風に、雨に
佇むものの心に
ありったけの笑顔で
物語を紡ぎ始める。
時に饒舌に
時に控えめに…。
その紡がれた物語を
私たちは季節と呼ぶ。
そして
「ありがとう」と花は散り
大地に、空に、風に、雨に
佇むものの心に
ありったけの気持ちで
物語を刻む。
時に賑やかに
時にひっそりと…。
その刻まれた物語を
私たちは四季と呼ぶ。
野イバラはいよいよ白く
傍らには咲き始めた紫露草。
心の大地には
夕暮れの園の満開の桜。
2012/05/24 (Thu)