詩人:トケルネコ
砂を覆う気で水を撒くなんて
溺れた魚を焼き殺すみたいに
あなたは
過去のない風を羨む
緑の木々をかすめる
草原を泳ぐような
日々を夢見る
誰かは哀しみしか詩えなくて
あの子は空しか映らなくて
いつからか死と爪先を合わせて踊る
欠けた柩のために眠りを売る少女
赤い砂漠に白い花が迷う
掬いきれない手の平から零れる砂と雨は溶けることもなく……
あなたは
時を打つ時計に憧れる
胸にヒビわれる音
谺する少女の悲鳴
楔打つように止めようと
贖う手もないのに
2010/02/25 (Thu)