詩人:花房優希
信じることを止めた
貴方を信じることを、放棄してしまったの
だから、私は貴方を忘れるわ
微塵も残さずに、跡形もなく
すべてはあの日の雨に流されたかのように
あの涙とともに、ひとつずつ私の中から零れ落ちていった
部屋に置き去りにされた思い出さえも捨ててしまって
けれど、どうしても消えないものがある
どうしても消せないものがある
私の、心
この目が光を知らなければ
この耳が音を知らなければ
この唇が言葉を知らなければ
この心が愛を知らなければ
貴方を思い出すこともなかったのに
私は未だ 鍵の開けられた檻でひとり動けずにいる