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詩人:謳器
夜明け前に部屋を飛び出し
狂ったように彷徨い歩いた
大声で叫びたいのに
声はかすれて 言葉にならない
走り出したいのに
足がもつれて しゃがみこんだ
滑稽なのは
かすれた声でも もつれた足でもなく
今この瞬間の私の顔
何の表情もない
今この瞬間の空虚な私の表情
何を叫びたかったんだろう
何処に行きたかったんだろう
どうして失くしてしまったんだろう
呆然と立ちすくんで
見上げた空には
取り残された 最後の星
弱々しい光を瞬かせ
燃え尽きそうな 最後の星
そして
そのとき溢れ出した涙が
私の最後の星