詩人:千波 一也
幼い日々が
やわらかく在ったのは
いつわりごと、が
易しかったから
不器用な手に
添われていたから
ひとつひとつの横顔は
おぼろ気だけれど
ぬくもる匂いは
きえ去らない
わたしのなかの
幻灯機
ひかりの粒を
寄せあつめたら
おもても裏もなくなるね
昨日は、あした
明日は、きのう
いろを極めた
影たちがつながる
華やかに
ことばを紡げたら、と
願いごとの続く限り
幸せはとぎれない
たよりなげな指たちが
とじては咲いて
咲いてはとじて
息吹は
おわらない
2013/02/06 (Wed)