詩人:千波 一也
ちいさな駅で見送った
あなたの笑顔は
まっすぐでした
こころ細さに折れそうな
わたしの代わりを
つとめるように
あなたの笑顔は
まっすぐでした
とおく、
遮断機の音が鳴り止んで
口からこぼれた
「ありがとう」
直接に、
あなたへ渡せなかった
「ありがとう」
なんにもない青空の
平素なまぶしさは
今なお鮮明です
鮮明に
寂しいものです
手をふるあなたの
かすかな淀み
今ならば少し
みえる気がします
恥じらい混じりのほほえみが
ようやくかなう
今ならば
2014/02/14 (Fri)