詩人:老女と口紅。
-愛.途中下車-
恋愛事情は長距離の果て
独り片道切符を握りしめ
乗り合わせた奇跡の時刻
見つめ会えば意気投合し
がんじがらめの制約の元
足元見失えば奈落の底へ
見切り発車の列車を降り
手を繋ぎ道の駅で一休み
行く先見えず不安を纏い
日々闇夜に隠す体が二つ
ただがむしゃらに抱けば
時は流れて‥時よ流れて
安定なき恋愛は不偏的で
探し物は絶対なる安定で
盲目に似た二人は綱渡り
揺れ落ちぬよに抱き抱え
現実逃避は夢心地の世界
ゆらりゆらりやじろべい
罪に気ずかぬ溺れた心に
互いの足首には罰の鎖を
焦がれたハッピーエンド
競歩の速度で逃げて行く
振り向きながら嘲笑う幸
後ろ髪引く家族の思い出
ただがむしゃらに抱けば
時は流れて‥時よ流れて
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