詩人:タキシード詩者
好みがはっきりしない、と
きみは愚痴をこぼすけれど、
嫌いじゃない。
僕がそう言うようになったのは
きみのせいなんだよ。
青が好きと答えれば
きみの持ち物は空色になるし、
鶏肉が好きと伝えてから、
食卓には一週間鶏肉料理が並んだ。
柴犬が好きだったのは、
本当に僕だったのかなぁ。
きみが僕を知ろうと頑張るほどに
僕ははぐらかすのが得意になるんだ。
きみが唇を尖らすたびに、
僕はホッとしているんだ。
僕の好みなんて聞かなくて良いよ。
あのヘンテコな緑のキャラクターを、
可愛いと言っているきみでいいんだよ。
好き は
いいね に変わり、
気がつけば、
嫌いじゃないよ って。
それなのに
きみの事は、
・・さ、
不思議と変わらないね。