詩人:理恵
この道をゆきて着いたらば、
何待ち構へたるものか、
われは知らぬ、だがゆかん。
この道をゆきて秋風ふけば、
立ち止まりて思ひ馳する、
われは知らぬ、きみのこと。
この道をゆきて触れたらば、
知らぬ世界に実感もなし、
しかし確かに、きみはゐて。
この道を戻りて手元(たもと)を見れば、
尽力の賜物が頁を連ね、
亦たどりぬる、その人生(みち)を。
この道を戻りてきみに耽れば、
今さらそれを噛みしめて、
われ筆を執り、認(したた)めぬ。
この道を戻りて灯りの下で、
未熟な理解と知りつつも、
刻ませて賜ふ、この詩(うた)を。
H30.10.19