詩人:望月 ゆき
春を待っていた
電信柱の脇に
タンポポが顔を出して
庭のハナミズキの枝先に
小さな葉が芽吹き
桜が 今何分咲きだとかって
世間が騒がしくなったり
それでも まだ
春を待っていた
あなたがそれを連れてきた
小高い丘の上から
腕を伸ばしたまま
ごろんごろんと
愉快に転げながら
わたしのもとにたどり着いた
あなたの体のあちこちに
春のカケラがくっついていた
それは 恋か
それは 涙か
あるいは ただの切れ草かもしれない
ただ たしかなことは
あなたが春を連れてきた
2004/03/31 (Wed)