詩人:千波 一也
火がほしかったから、そっと恥じらいをまぜてお月さまに耳打ちしましたそっとまるで玩具のような運命のわたしですあわい夜の吐息にさえ消されてしまいそうなさびしいさびしい祈りですそれだから火がほしかったのですあの尊い遠くのお月さまなら、授けるすべをご存知かもしれなくて蟻ほどにも働けぬ不精で矮小なたわごとだけれどささやかならばささやかなりに許されそうで望みをこぼしてみた次第です