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詩人:右色
なんだい?
その不満そうな顔は。
君は小説を読んだことが無いのかい?
「君と僕とは一つだ」
そんなセリフをね、書き手が言わずにはいられないのはね。
まさしく、比喩でもなく、そうだからだよ。
延々と繰り返される。
自問自答。
それこそが小説なのだから。
絢爛豪華に彩られた舞台で。
たくさんの個性を演じる。
伝えたいのか。
理解して欲しいのか。
それとも。
知られたくないのか。
それこそ、そんな意図や意味なんかを詰め込んで、ね。
それでも、実在するのは、アメ玉一つなのさ。
だから、好き嫌い言えるし。
言うものでもある。
だから、ホントは何万という文字で無意味なんだ。
だけど、何万人という人に読んで欲しいから。
そして、何千という人に理解して欲しいから。
小説ってアメ玉はあんな形をしている。
だから、どっちが先で、どっちが優れているなんて話ではなく。
自分にとっての無意味を省いて。
多くの人間にとって無意味で理解できなくとも。
「詩」もまた、一つのアメ玉なんだ。