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[12030] 知っていたから

詩人:ヒギシ

夕暮れ色の
貴女のその眼が
見つめていたのは

僕が買った
ネオンの夜景なんかじゃなく
街路樹の蕾だって
ちゃんと知っていた

貴女が耳を傾けていたのは
風のざわめきだとも

貴女が微笑んでいたのは
やっと飛び立った雛にだとも

ちゃんと知っていた

それでも僕が
貴女を掴んでいたのは

貴女がその細い指で
僕の袖を掴んでいたことを
ちゃんと知っていたから

2004/05/14 (Fri)
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